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第25回 市民医学講座 『骨粗鬆症の予防について』

講師 塩沢整形外科クリニック 塩沢広重

図1 骨量の自然史と骨粗鬆症骨折の予防

 さる平成16年11月18日、市民医学講座で講演させて頂きましたので、内容を簡単にご報告いたします。骨粗鬆症はご存知のように骨量が減少して骨が折れたり、または折れやすくなった状態を言います。社会の高齢化が進み、寝たきりとなる原因で脳血管障害に次ぎ第2位で、その患者数は1000万人とも言われています。一旦、骨粗鬆症になりますと完全に回復するとは困難で、疼痛のため活動性は低下し、そのために骨量が減少してなおさら骨折しやすくなるという悪循環を繰り返します。最近、発売されたエビデンスのある薬剤(ビスフォスフォネート製剤等)でも骨量の増加はせいぜい5%程度、また一度骨折を起こした人の再骨折のリスクを半分にする程度です。そこで肝心となるのがいかに予防するかということになります。お年寄りになってからは症状がでるのですが、若い時期のライフスタイルが大きく影響していることを知ることが大切です。

 骨の脆弱性は質量とその構造にかかっていますが、現在、構造について評価することは困難なため、骨量についてのみ述べます。骨量は青年期に最大(最大骨塩量)となりその後は漸減していきます。骨折の危険域に入らないようにするには最大骨塩量を若い時期に高く保っていることと、如何にその後、減少を少なくするかにかかっています。そこで図1のごとく年齢によって予防方針、予防対策が異なります。今回はその予防のために自分の骨粗鬆症の危険因子の把握、ならなための生活指導、骨粗鬆症の健康診断について述べます。それが早期発見、早期治療につながります。

 まず危険因子ですが、従来言われている小柄、痩せている、牛乳を飲まない、体を動かすのがきらい、アルコールの多飲、無理なダイエットをしたなどがありますが、最近とくに有意義があると言われているのは祖母の大腿骨頚部骨折の既往、45歳前の閉経、喫煙(1日11本以上)、ステロイドの使用です。また脂肪組織にエストロゲン様の作用があることがわかっており、脂肪の少ない小柄の人に骨粗鬆症が多いことがわかっています。2001年藤原先生が下記の指数を発表しております(表1)。最も簡単な自己評価法です(表1)。

 生活指導は食事と運動です。食事はカルシウム、ビタミンD、マグネシウムを十分に摂取することですが、日本人の食事の平均摂取量で必要量に満たない栄養分がカルシウムです。カルシウムを十分にコンスタントに摂取することが大事ですが、乳製品は吸収率が40%と高く、調理する必要もないので定期的に摂取するには最適です。一日摂取量(最低600mg)の半分は乳製品から取るようにすることがひけつです。牛乳が飲めないひとは、料理に利用するか、豆類、小魚、豆腐、海藻などをこまめに取ることが必要です。またカルシウムの吸収を阻害するものにリン、塩分の取りすぎ、過度の飲酒がありますので、バランスの良い食事が大事です。また骨が丈夫になるためには運動負荷が必須です。体に衝撃が加わる強い負荷が最も有効ですが、中高年は間接の障害、心肺に及ぼす影響などからゲートボール、ウォーキングなど軽い負荷で長く持続させることが有効です。

 健康診断ですが、前述した危険因子が高く、また背が丸くなったなどの早期症状がでれば、骨密度測定、場合によってはレントゲン、血液検査が必要です。骨密度測定は腰椎の骨量をDEXAで測るのが理想ですが、測定器が高価なため一般的には普及していません。現在、踵骨を超音波で検査したり、中手骨の皮膚骨の太さを測ったりしていますが、精度にやや欠けます。最低でも焼骨遠位部のDEXAが必要ですがそれでもややばらつきがあり、有効なツールではありますが、骨粗鬆症は総合的な判断が必要です。

 骨粗鬆症の予防のついて簡単に述べましたが、治療となりますと、70歳台まではビス剤を中心とした薬物治療が中心ですが、80歳台になると骨量増加を期待することはあまりできないため転倒予防に力点がかかわります。バランストレーニングや筋力強化を積極的にやる施設が増えてきました。体勢を崩したときにそれを立て直すために一歩がでるようにする訓練が有効なようです。


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