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第21回 市民医学講座 『痴呆について』

講師 秋山内科医院 秋山巌先生

はじめに
 長寿社会を迎え、痴呆が大きな関心事になっている。痴呆の原因となる疾患はたくさんあるが、ここでは手術によってよくなる脳外科的疾患、最も多く見られる脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆、そしてこの所問題になっているクロイツフェルト・ヤコブ病について述べる。

痴呆性疾患の出現率(厚生省調査より)

 痴呆性疾患の出現率(厚生省調査より) さまざまな原因で起こる痴呆を総称して「痴呆性疾患」という痴呆性疾患の出現率は、加齢とともに高くなっており、85歳以上では、男性が4~5人に1人、女性が3~4人に1人の割合になっている。

1.脳外科的疾患

イ、正常圧水頭症
 髄液を貯蔵している脳室の拡大があり、尿失禁、歩行障害、痴呆が認められる。2つに大別され、原因不明な特発性と、くも膜下出血、外傷などの膜におこる続発性がある。
ロ、慢性硬膜下血腫
 頭部の外傷後少したって、脳の一番外側を包んでいる「硬膜」とその内側の「くも膜」の間に出血が起こり、そこに血腫ができる疾患である。この血腫が脳を圧迫すると痴呆症状が現れることがある。

2.脳血管性痴呆

 脳血管障害によるもので、ほとんどは脳梗塞、特に多発性脳梗塞が原因となり、その他脳出血、くも膜下出血などによるものがある。

3.アルツハイマ型痴呆(アルツハイマー病)

 狭義のアルツハイマー病は40才代から60才代に起こり、急速に物忘れがひどくなり、判断の障害を生じてきて、社会生活ができなくなる病気である。海馬、側頭葉内側面を中心とする脳萎縮が認められる。 1907年に、ドイツ人医師アロイス・アルツハイマーが報告したのが始まりで、アルツハイマー病となづけられた。以前は40才代から60才代に発症するものを指したが、1980年代担って70才代から80才代発症のものも、症状も脳組織も同様のものがみられるということで、現在はこれらをひっくるめて、「アルツハイマー病」とか「アルツハイマー型痴呆」と呼ぶことが多い。

脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆の識別

脳血管性痴呆
・60才以降、男性に多い
・段階的悪化
・頭痛、めまい、不眠
・まだら痴呆
・病識あり、人格保持
・抑うつ、感情失禁
・局所神経症状、運動麻痺、歩行障害、言語障害

アルツハイマー型痴呆
・より高齢、女性に多い
・進行性
・自覚症状なし
・全般的痴呆
・病識なし、人格崩壊
・多幸性、多弁
・局所神経症状なし
・CT、MRI:脳萎縮

4.クロイツフェルト・ヤコブ病

プリオンと呼ばれる異常蛋白が脳に出現する感染性痴呆で何年か前にイギリスではじまった狂牛病を契機に急に注目を浴び、このごろでは脳外科手術で使ったヒト乾燥硬膜が原因で発症したということで、テレビや新聞をにぎわすようになった。
最後に、年齢による物忘れと痴呆による物忘れはどう違うのかを次の表に示し、そして痴呆の予防と介護者の接し方を箇条書きにした。

生理的な物忘れと病的な物忘れ
  生理的な物忘れ 病的な物忘れ
忘れ物 30分前のこと思い出せないことはない。
作り話をしない。
日付や曜日、場所がわかる。
体験や出来事の一部だけ忘れる。
30分前のことを忘れてしまうことがある。
作り話をしない。
日付や曜日、場所がわからないことがある。
体験や出来事をまるごと忘れる。
病床の進み方 軽度でとどまる。 どんどん進む。
病床の自覚 自覚があり、対策をたてる。 自覚がなく、対策をたてない。
社会生活への適応 十分可能。 困難、あるいは不可能。
痴呆の予防

1.何事にも興味を持ち、積極的に生きる。
2.生きがいを持つ。適度のストレス。
3.頭を使う。
4.友達をつくる。
5.適度な運動。
6.頭部外傷を避ける。
7.歯の保全。
8.動脈硬化予防。
9.ライフスタイルを急に変えない。
10.禁煙。
11.長年の飲み過ぎを避ける。
12.寝たきりを防ぐ。

痴呆の患者さんに対する接し方

1.痴呆について正しい知識を持つ
2.患者さんの心の内を理解する
3.尊重する、とがめない
4.不安を取り除き、安心してもらう
5.介護自信もリラックス


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